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高松高等裁判所 昭和34年(う)134号 判決 1959年10月15日

少年 N(昭一五・一・三生)

主文

原判決を破棄する。

本件を松山家庭裁判所に移送する。

原審の訴訟費用(国選弁護人に支給した分)はその二分の一を被告人の負担とする。

理由

本件控訴の趣意は、記録中の弁護人佐伯藤三郎、同佐伯研治作成名義の各控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引用する。

論旨は何れも原判決の量刑が重きに過ぎるというものであるところ、本件がもし少年の刑事々件でないとすれば犯行の態様に徴し原判決の量刑は必ずしも重いというを得ないのであるが、しかし少年である被告人に対し刑事処分を以て臨むべきか将又保護処分に付すべきか、もし保護処分に付するのが適当であるとすれば原判決の量刑は重きに過ぎるといわねばならぬから、この点につき審案するに原裁判所が取調べた証拠その他記録に現われた事実に当裁判所が取調べた本件犯行後の被告人の生活態度、環境等を彼此綜合すると被告人に対しては懲役刑を科するよりはむしろ少年院送致等の保護処分に付することが処遇として適当であると考えられる。よつて論旨は結局理由あるに帰するから刑事訴訟法第三百九十七条第二項に従い原判決を破棄した上少年法第五十五条に則り本件を松山家庭裁判所に移送することとし訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 加藤謙二 裁判官 松永恒雄 裁判官 谷本益繁)

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